板倉龍聖
気になるところだけ読めます
「え!?これでですか!?」
スクワットのフォームチェックで、僕が背中の位置を手で修正したとき、お客様がびっくりした顔で言った言葉です。
50代の男性。肩こりと腰の違和感で来てくれた方でした。
本人は「まっすぐ立っている」つもりだった。でも後ろから見ると、右肩が明らかに下がっている。スクワットをしてもらうと、左脚に体重が偏って、右のお尻がうまく使えていない。
「ずっとこの姿勢で生活してたってことですか?」
そうなんですよね。何年も、何十年も。
この反応、実は珍しくないんです。コンパウンド種目(スクワットやデッドリフトのような複数の関節を使う動き)をやると、体の左右差がはっきり出ます。そしてトレーナーが正しい位置に修正して「これが正しい位置ですよ」と伝えると——
7割の方が驚きます。
自分が思っている「まっすぐ」と、実際の「まっすぐ」が違う。これに気づいた瞬間が、体が変わり始めるスタートラインなんですよね。
左右差は「配管のねじれ」みたいなもの
体の仕組みを流通センターに例えると、姿勢の問題は配管工事に近いです。
流通センターの配管(血管や神経の通り道)がねじれたり詰まったりしていると、荷物(栄養や酸素)がうまく設備に届かない。
反り腰なら、お腹の配管がねじれて焼却炉(腹筋)にガソリンが届いてない状態。猫背なら、上半身の配管が圧迫されて肩や首の設備にエネルギーが行き渡らない状態。
左右差があるということは、右と左で配管の太さや通り具合が違うということです。
片方にだけ荷物が多く届いて、もう片方にはほとんど届いてない。そうなると、届いてる側だけ設備が大きくなって、届いてない側はどんどん弱くなる。
食事を整えても、運動を頑張っても、配管がねじれたままだと効果が偏る。これが「やってるのに変わらない」の原因になっていることが、結構あります。
「じゃあストレッチで伸ばせばいいの?」って思うかもしれません。
ストレッチは「硬い方を緩める」ことはできます。でも「弱い方を強くする」ことはできない。
配管のねじれを直すには、弱い側の設備を補強する工事が要るんです。
剣道七段の方が、膝の痛みで来た話
印象に残っているケースがあります。
👤50代男性・剣道七段
「右膝がずっと痛くて。整形にも行ったんじゃけど、湿布もらうだけで。運動で治せるもんなら治したいんよ」
剣道を長年やってきた方でした。右膝の慢性的な痛みがある。
最初にアライメントをチェックしたとき、予想通り体に左右差がありました。剣道は構えの特性上、右足を前に出して踏み込む動作が多い。何十年もその動きを繰り返してきた結果、右膝周りに負荷が集中していたんですよね。
ただ、このケースが難しかったのは、最も基礎的なリハビリ運動でも痛みが出るレベルだったこと。
まず医療機関での精密検査を勧めました。MRIで状態を確認してもらう。これは僕たちの領域ではないので、そこの線引きははっきりさせます。
そのうえで、痛みが出ない範囲でできることを探っていきました。
右膝が動かせないなら、左脚を鍛える。実は、片側を鍛えると反対側にも刺激が伝わる「クロストランスファー」という現象があります。それから、膝そのものではなく、膝の周囲の筋肉——ハムストリングスや腓腹筋を間接的に強化する。
左右差の修正は、必ずしも「痛い方を直接鍛える」だけではない。回り道に見えるアプローチが、結果的に近道になることがある。
足の付け根が痛い人の「意外な原因」
もう一つ、よくあるパターンを紹介します。
「なんか脚の付け根が痛いんですよね」と言って来る方。
こういう方にルーマニアンデッドリフトをやってもらうと、足の前後の筋肉量のバランスが崩れていることがわかることがあります。前ももばかり使って、裏ももが全然使えていない。
このバランスの崩れが股関節に負荷をかけて、付け根の痛みになっていた。
ルーマニアンデッドリフトで裏ももを鍛えて前後のバランスを整えたら、付け根の痛みが取れた。本人は「まさか脚の痛みが筋トレで取れるとは思わなかった」と言っていました。
自分では「なんか痛いな」としか思えない症状の原因が、左右差や前後のバランスの崩れだった——こういうケースは少なくないです。
姿勢の左右差と腰痛の関係、もっと詳しく知りたい方はこちら。
デスクワーク腰痛は筋トレで治す|岡山で反り腰改善するなら揉むより鍛える
ストレッチだけで治らない腰痛の根本原因
記事を読む →背中のトレーニングで肩こりが消えた話
胸椎や腰椎の可動域が狭い方——つまり背骨の動きが硬い方は、肩こりや腰痛を抱えていることが多いです。
こういう方には、チューブを使ったシーテッドローイングをゆっくり丁寧にやってもらいます。
背中の筋肉を意識して使うことで、胸椎の可動域が徐々に広がる。前側に固まっていた配管が通るようになる。
「姿勢を正しましょう」と意識させるのではなく、背中側の筋肉を使えるようにすることで、結果的に姿勢が整う。これが僕たちのアプローチなんですよね。
意識して背筋を伸ばしても、5分で元に戻る。でも背中の筋肉がちゃんと働くようになれば、意識しなくても姿勢は整ったまま。
左右差を放置すると起きること
- 強い側だけがさらに強くなり、バランスが悪化する
- 膝・腰・肩など、代償する関節に負荷が集中して痛みが出る
- 鏡を見ても自分では気づけない——誰かに見てもらう必要がある
- ストレッチだけでは解決しない。弱い側を鍛えて初めて揃う
「自分のズレ」を知るところから
左右差は、自分では気づけません。
何年も、何十年もその姿勢で生きてきたから、それが「普通」になっている。鏡を見ても、自分の目は自分の左右差を補正してしまう。
だから、誰かに見てもらう必要がある。
うちの体験では、最初にアライメントチェックをやります。横と正面から姿勢の写真を撮って、スクワットの動作確認で関節の動きや左右差を見る。重りは使いません。
そこで「今の体がどうなっているか」をお見せする。
体験に来る方の多くは、減量や体質改善が目的で来ます。でも実際に診ると、姿勢軸に原因があるケースがかなり多いんですよね。
3軸診断で見ると、だいたいの人は3つ全部がダメなわけじゃない。1〜2箇所に原因が集中してる。
「自分は何をやってもダメだ」と思って来る人が多いけど、実際に診ると「ここだけじゃん」ってことがほとんどです。
肩こりが取れない。腰が重い。なんとなく体のバランスが悪い気がする。
そういう違和感の正体が、もしかしたら「自分では気づけない左右差」かもしれません。
まっすぐ立っているつもりの自分が、本当にまっすぐかどうか。一度、確かめてみませんか?
自分の姿勢の左右差、気になった方。60分の体験で「今の体の状態」をお見せします。

この記事を書いた人
板倉龍聖
FIREFITNESSトレーナー。お客様一人ひとりに寄り添った指導で、理想の体づくりをサポートします。

