岡田雄磨
「冬って太りますよね? もう諦めてます」
カウンセリングで、11月くらいからこの言葉が増えます。
特に多いのが40代の女性。30代まではちょっと食事を調整すれば戻せたのに、40代に入ってからそれが効かなくなった。しかも冬になると忘年会やら新年会やらで外食が増えて、もうどうにもならない。
「冬は太る季節だから仕方ない」
そう思ってる人がほとんどなんですけど、実は体の仕組みとしては冬のほうが痩せやすい条件が揃っているんです。
じゃあなぜ太るのか。
今日はそこを、流通センターの話で説明します。
冬の流通センターでは「暖房の準備態勢」が始まる
あなたの体は流通センターです。
毎日トラック(食事)で荷物が届いて、仕分けされて、各部署に届けられる。このセンターには焼却炉(筋肉)がついていて、余った荷物を燃やしてくれます。
この焼却炉を維持するのにかかるコストが、基礎代謝です。
で、冬になると何が起きるか。
外気温が下がると、流通センターは暖房の準備態勢に入ります。
「そろそろ暖房を強くしないとセンター内の温度が下がるぞ」と。焼却炉に「いつでもフル稼働できるようにしておけ」と指示が出る。
この準備態勢自体がエネルギーを使います。つまり冬は、何もしなくても維持費(基礎代謝)が上がりやすい状態になっている。
体温を36〜37℃に保つために、体が勝手にエネルギーを多く使う。
これが「冬は痩せやすい」と言われる理由です。
ただし、ここで大事なのは「上がる実感」はほとんどないということ。
体の中で起きてる反応としては、基礎代謝を上げようとする準備段階に入りやすい。その結果として上がりやすい。こういう仕組みです。
焼却炉が大きい人と小さい人で、冬の結果が全然違う
ここが一番伝えたいところです。
焼却炉(筋肉)が大きいセンターは、暖房の出力も大きい。
準備態勢に入ったとき、維持費の増加幅が大きいんです。つまり夏より多くの脂肪を燃やせるポテンシャルがある。
逆に、焼却炉が小さいセンターは暖房の出力が弱い。
準備態勢に入っても「寒い」で終わる。これがいわゆる冷え性です。
冷え性の人 = 焼却炉(筋肉)が小さくて暖房の出力が足りない状態。冬に「痩せやすい」のメリットを受けられない。
うちに来るお客様で実際によくあるパターンを2つ紹介します。
Aさんのケース:42歳・デスクワーク・「30代まではなんとかなってた」
Aさんは42歳の女性。事務職で1日中デスクに座ってる。
30代までは、ちょっと食事を減らせば体重が戻せた。でも40代に入ってから、同じことをしても全然戻らなくなった。
「何が変わったんですかね?」と聞かれたので、流通センターの話をしました。
30代まで調整できてたのは、焼却炉(筋肉)がまだそこそこの大きさだったから。食事を少し減らす = 入荷を減らすだけで、焼却炉が余った在庫を処理できてた。
でも40代に入って運動量が減ると、焼却炉が小さくなっていく。同じように入荷を減らしても、焼却炉の処理能力自体が落ちてるから、在庫(脂肪)が減らない。
「食事を減らしても痩せない」の正体はこれです。
だからFIREFITNESSでは、Aさんに対して最初に提案したのは食事制限ではなく、焼却炉を大きくすることでした。
筋肉量・骨格筋量を増やして、基礎代謝を上げる。そうすれば、冬の暖房準備態勢のメリットも大きくなる。食事を極端に減らさなくても、維持費(基礎代謝)と入荷(食事)のバランスで総合的にマイナスを作っていける。
Bさんのケース:38歳・営業職・「忘年会シーズンで5kg増えた」
Bさんは38歳の男性。営業職で会食が多い。
毎年11月から3月にかけて、忘年会・新年会・歓送迎会が続く。お酒も飲むし、二次会もある。毎年この時期に4〜5kg増えて、夏に向けてなんとか戻す。でも年々、戻りが悪くなってきた。
「冬は太る季節ですからね……」と諦め顔で来られたんですけど、僕は「いや、太ってるのは季節のせいじゃないです」と伝えました。
冬に太る本当の原因は、焼却炉のせいじゃなくて入荷のせいなんです。
11月以降、集まりや外食が増える。トラック(食事)の台数が増えて、しかも1台あたりの荷物量も多い。飲み会メニューってカロリーが高いんですよね。
支配人(インスリン)がパニックを起こして「全部倉庫行き!」になる。
体の方は暖房の準備態勢で維持費が上がってるのに、入荷がそれを完全に上回っちゃう。
冬太りの正体は「基礎代謝が下がったから」ではなく「入荷(食事量)が増えすぎたから」。ここを勘違いしてる人がとても多い。
Bさんには「会食をやめろ」とは言いません。
仕事の付き合いで必要なことだし、人間関係も大事。そこを否定しても何も解決しない。
代わりに2つのことを提案しました。
1つは、焼却炉を大きくすること。週1のトレーニングで筋肉量を増やして、維持費自体を上げておく。そうすれば入荷が多少増えても、処理能力が上がってるからダメージが減る。
もう1つは、1週間単位での帳尻合わせ。会食があった翌日〜2日間は入荷を調整する。1日単位で完璧を目指すんじゃなくて、1週間で帳尻が合えばOK。
「点ではなく、線を目指す」。これがFIREFITNESSの考え方です。
冬のもう1つの落とし穴:水を飲まなくなる
冬に体調を崩す人に共通してるもう1つの原因があります。
水分不足です。
冬は喉が渇きにくいから、自然と水を飲まなくなる。
流通センターで言うと、配送トラックの燃料(水)が切れてる状態。荷物は仕分け場に届いてるのに、トラックが動かないから各部署に届けられない。仕分け場で荷物が渋滞して、全部倉庫行き。
しかも燃料切れで配管(血管)の流れも悪くなるから、末端が冷える。冷え性、肩こり、腰痛。この3つがセットで出る人は、水分不足を疑ってみてください。
冬こそ水を飲む理由:暖房の準備態勢に入ってるセンターは、通常より水が必要。燃料切れで配送が止まると、焼却炉が頑張っても荷物の処理が追いつかない。
冬のトレーニングで気をつけていること
もう1つ、冬に僕がお客様に必ず伝えることがあります。
冬は配管(関節・筋肉)が冷えて固まっています。
この状態でいきなり大きな動き(スクワットやデッドリフトみたいなコンパウンド種目)をやると、配管が破損するリスクがある。つまり怪我です。
だからFIREFITNESSでは、冬のセッションはこの順番でやっています。
冬のセッションの始業手順
まずウォームアップで配管を温める
軽い有酸素で全体の温度を上げる
ストレッチ・モビリティで配管の柔軟性を回復
そこからメインのトレーニング開始
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夏ならいきなりメインに入れることもある。でも冬はこの始業準備を丁寧にやるかどうかで、怪我のリスクが全然違います。
「早くトレーニングしたいんですけど」と言う人もいます。気持ちはわかる。
でも配管が凍った状態で無理に水を流したらどうなるか。破裂しますよね。それと同じです。
冬のダイエット、結局なにをすればいいのか
まとめると、こうなります。
冬は体の仕組み上、痩せやすい条件が揃っている。
暖房の準備態勢に入って、維持費(基礎代謝)が上がりやすい状態になる。
でも、ほとんどの人が冬に太る。
理由は「入荷(食事量)が増えすぎるから」。外食のシチュエーションが増えて、維持費の増加分を入荷が上回ってしまう。
じゃあ食事を制限すればいいのか。
それは違う。FIREFITNESSのアプローチは「食事を減らす」じゃなくて「焼却炉(筋肉量・骨格筋量)を大きくして維持費自体を上げる」。
その上で、入荷と維持費のバランスで総合的にマイナスを作っていく。
これが一番現実的で、一番リバウンドしにくい。
冬にやるべき3つのこと
焼却炉(筋肉)を大きくする → 維持費(基礎代謝)を上げる
水を意識的に飲む → 配送を止めない
トレーニング前の始業準備を丁寧にやる → 配管の破損(怪我)を防ぐ
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「冬だから仕方ない」の前に
冬は太る季節。
そう思って、毎年同じことを繰り返してませんか?
体の仕組みは、あなたが思っているより味方をしてくれています。焼却炉が暖房の準備態勢に入って、維持費を上げようとしてくれている。
その仕組みを活かせるかどうかは、焼却炉の大きさ次第。
「今年こそ冬に太りたくない」と思ったとき、食事を減らすことから始めますか? それとも焼却炉を大きくすることから始めますか?

この記事を書いた人
岡田雄磨
FIREFITNESSトレーナー。お客様一人ひとりに寄り添った指導で、理想の体づくりをサポートします。
