岡田雄磨
「前のジムは何していいかわからなくて、結局行かなくなったんよ」
——これ、月に3〜4回は聞きます。
24時間ジムに入会して、マシンを適当に回って、YouTubeで見たメニューをやって。半年通ったけど何も変わらなかった、という人がうちにはよく来るんですよね。
その人たちに共通してるのが「何をすべきかわからない状態で、とりあえず動いてた」ということ。
うちの初回では、それが起きないようにしています。
いきなり筋トレはしない
パーソナルジムに来たら、最初からバーベルを持ってスクワットすると思ってる人が多いです。
うちは違います。
初回の前半はカウンセリング。ここでやるのは筋トレじゃなくて、食事と生活習慣のヒアリングです。
「え、運動しないんですか?」と驚かれることもあります。
しません。まだ。順番があるんです。
なぜ食事から入るのか
うちの3軸診断は「食事→生活習慣→運動」の順で見ていきます。
この順番には理由があります。
目標を決めるのに必要な材料が、食事と生活習慣の中にあるからです。
まず聞くのが「自分が動きやすかった体重」。
一番多い答えが「○kgの頃がよかった」って、過去の体重で返ってくるパターン。数字が出てこない人には、学生時代——高校3年生の頃とか、運動量が一番あった時期の体重を一緒に思い出してもらいます。
この目標体重が決まると、そこから逆算してカロリーとPFCバランス(タンパク質・脂質・糖質の配分)を設定できる。
でもカロリーの数字だけ出しても意味がないんですよね。
だから次に生活習慣を聞きます。
生活習慣の中に「原因」がある
カロリーとPFCを日常に落とし込むために、普段の生活を聞いていきます。
ここで見つかるパターンは、だいたい決まってるんです。
多い順に並べた原因パターン
外食での脂質が多い — 本人は「食事気をつけてます」と言うけど、カロミルで3日分の記録を見ると脂質が明らかに多い
1食か2食にまとめて食べている — 朝食を抜いて、昼と夜だけ。しかも夜にドカ食い
水分量が足りていない — 女性の目安は体重×45−1000ml。これに届いてない人がかなり多い
これらが見えてくると、「なぜ今まで変わらなかったのか」の理由がわかります。
食事の問題なのか。タイミングの問題なのか。それとも水分が足りてないだけなのか。
ここがわかって初めて、目標体重・体脂肪率・骨格筋量の数字が現実的に設定できるんですよね。
数字だけ先に出しても、生活に合わなければ絵に描いた餅になる。だから食事と生活を先に見るんです。
「外食やめてください」とは言わない
外食が多いとわかった場合でも、やめさせません。
外食は生活の一部だから。それを取り上げたら続かない。
代わりにやるのは、カロリー重視の調整です。
決めたカロリー内に収まるように、外食以外の食事で帳尻を合わせる。3日〜1週間のトータルで合えばOK。
1食単位で完璧を求めない。
食べる時間がない人には、コンビニで買えるものを具体的に提案します。セブンイレブンの全粒粉チキン&エッグはタンパク質32g。サブウェイのチリチキンサンドは脂質4.1gしかない。
「外食・コンビニでもダイエットできます。選ぶ力は一生モノです」
僕がよく使う言葉です。
ここからが運動の話——アライメントを見る
食事と生活を確認したあと、ようやく体を見ます。
まずやるのがアライメントチェック。立った状態を横から見て、姿勢の歪みを確認します。
反り腰なのか。猫背・巻き肩なのか。股関節の可動域に制限があるのか。
これを見る理由は一つ。
「どこを鍛えて、どこを鍛えないか」を決めるためです。
ここが24時間ジムとの一番の違いかもしれません。
24時間ジムでは「全身をまんべんなく鍛える」が基本になります。それが悪いわけじゃない。でもそれは「体の状態を見た上で」やることであって、順番が違うんですよね。
たとえば反り腰の人がいきなり重いスクワットをやったら、腰を痛めます。その人にはまずドローインやヒップリフトで、お腹の力が入る状態を作ることが先。
巻き肩の人がベンチプレスをやったら、肩を壊す可能性がある。まず巻き肩を改善してからじゃないと、鍛えるべきじゃないんです。
逆に、アライメントに問題がない人は初回からしっかり負荷をかけられます。
つまり「鍛えない」という判断も、ちゃんとした根拠に基づいてやっている。
スクワットで全部わかる
アライメントを見たあと、何種目かトレーニングをします。
その中で僕が必ず見るのがスクワット。
スクワット1つで、だいたいのことがわかるんです。
スクワットで見えるもの
膝が痛い、腰が痛い → まだ基本動作に入れない段階。まず痛みの原因を取る
痛くないけど、股関節や腹圧が使えてない → 基本動作の練習から入る
腹圧はかけられているが動作の質に課題がある → 中強度のトレーニングに移れる
全部できている → 高強度OK。自分でジムに行っても再現できるレベル
この判断が、その後のトレーニングプランの出発点になります。
今の自分がどこにいて、どこに向かうのか。それが初回でわかるんですよね。
うちが「フィットネスの学校」と言う理由
初回のカウンセリングの中で、僕はこう説明しています。
「正しい姿勢、正しい食事、正しい生活習慣を学んでもらいます。筋肉量が増えて、ある程度食べても太りにくい体を作って、最終的には僕がいなくても自分でフィットネスライフを続けられる状態を目指します」
「いわば、ここはフィットネスの学校だと思ってください」
卒業がゴールなんです。
ずっと通い続けてもらうことが目的じゃない。自分でジムに行ったときに、何をすればいいか迷わない状態を作ることが目的。
だからトレーニングの順番も工夫しています。コンパウンド種目からアイソレーション、もう一度コンパウンドという流れで、意識の使い方を体に覚えさせていく。自分1人でやるときに再現できるように。
82%が運動歴ゼロからスタートしている
うちに来てくれるお客様の82%は、運動歴がゼロです。
ジムに行ったことがない。筋トレをしたことがない。何をすればいいかわからない。
だからこそ、初回で「あなたは今ここにいて、これをやればいい」が明確になることが大事なんですよね。
全部を一度に頑張る必要はありません。3軸診断をすると、だいたい1〜2箇所に原因が集中している。そこだけ直せば流れが変わるケースがほとんどです。
初回でわかること
うちの初回60分で確認できるのは、こういうことです。
初回60分でわかること
今の食事の何が問題なのか(あるいは問題がないのか)
生活習慣のどこに改善点があるのか
姿勢や体の歪みがトレーニングに影響しているかどうか
「鍛えるべき場所」と「今は鍛えないほうがいい場所」
目標体重・体脂肪率・骨格筋量の現実的な数値
自分が今どの段階にいて、何から始めればいいのか
「何をすればいいかわからない」は、この60分でなくなります。
初回で全部を解決するわけじゃありません。でも「自分の現在地」と「次にやること」が見えるだけで、動き方は全然変わるんですよね。
何していいかわからないまま、とりあえず動いていた時間を変えたいと思ったことはありませんか?

この記事を書いた人
岡田雄磨
FIREFITNESSトレーナー。お客様一人ひとりに寄り添った指導で、理想の体づくりをサポートします。
