はじめに
ママになったあなたへ
ご出産、本当にお疲れさまでした。💐
赤ちゃんのお世話で毎日大変な中、ご自身のカラダのことまで気にかける余裕がないかもしれません。でも、ママが元気でいることは、赤ちゃんにとっても家族にとっても、とても大切なことです。
このガイドブックでは、産後のカラダの回復をサポートする食事・運動・痛み対策について、わかりやすくまとめました。
mamarestoreが大切にしていること
- ママ一人ひとりのペースを大切に
- 無理のない、続けられる方法を
- 科学的根拠に基づいた安全なアプローチ
- ママの「キレイ」と「元気」を応援
あなたのペースで、少しずつ。
一緒に健康的なカラダを取り戻していきましょう!
栄養編 〜ママのカラダに必要なもの〜
授乳中のママに必要なカロリー
授乳中は、母乳を作るために普段より500〜700kcal多くエネルギーが必要です。
これは、ごはん茶碗2〜3杯分に相当します。
時期 | 授乳中のママ | 授乳していないママ |
---|---|---|
産後1〜2ヶ月 | 2,000〜2,800kcal/日 | 1,600〜2,400kcal/日 |
産後3〜6ヶ月 | 2,000〜2,800kcal/日 | 1,600〜2,400kcal/日 |
産後6ヶ月以降 | 2,000〜2,800kcal/日 | 1,600〜2,400kcal/日 |
授乳中でも体重を減らしたい気持ちはわかります。でも、1日1,800kcal以下にするのは避けましょう。母乳の質と量が低下し、ママの体調も崩れやすくなります。
安全な減量ペース:週に0.3〜0.45kg程度
栄養編 〜バランスよく食べるコツ〜
PFCバランスって?
たんぱく質(P)、脂質(F)、炭水化物(C)のバランスのことです。
🥩 たんぱく質(20〜30%)
産後の回復に欠かせない栄養素。授乳中は特に多めに!
- お肉、お魚、卵
- 大豆製品(豆腐、納豆)
- 乳製品
体重50kgなら85〜95g/日
🥑 脂質(20〜35%)
ホルモンバランスや母乳の質に重要!
- オリーブオイル、アボカド
- ナッツ類
- 青魚(DHA・EPAが豊富)
極端な低脂質はNG!
🍙 炭水化物(45〜65%)
エネルギー源&心の安定にも大切。最低でも1日175g以上を。
- ごはん、パン、麺類
- いも類
- 果物(ビタミンも豊富)
授乳中の低脂質ダイエットは、ホルモンバランスの乱れや母乳の質の低下につながります。
特に最初の6ヶ月間は避けましょう。
栄養編 〜不足しがちな栄養素〜
産後ママに特に大切な栄養素
🩸 鉄分
貧血予防に欠かせません
- レバー、赤身肉
- ほうれん草、小松菜
- ひじき、あさり
☀️ ビタミンD
骨の健康とメンタルケアに
- 日光浴(1日15分程度)
- 鮭、さんま
- きのこ類
🥛 カルシウム
授乳で失われやすい栄養素
- 牛乳、ヨーグルト
- 小魚、豆腐
- 小松菜、チンゲン菜
🍳 ビタミンB12
疲労回復をサポート
- 肉類、魚介類
- 卵、乳製品
- のり
サプリメントの活用も
食事だけで摂りきれない場合は、産後用のサプリメントを活用するのも良いでしょう。
特に菜食主義の方や、食事制限がある方は、医師や栄養士に相談してみてください。
痛み対策編 〜カラダの不調を和らげる〜
産後によくある痛みと対処法
🔸 腰痛(産後女性の45〜88%が経験)
原因:妊娠中から続くホルモンの影響、授乳姿勢、抱っこの繰り返し
対策:
- 授乳時はクッションで高さ調整
- 抱っこ紐を正しく使う
- 優しいストレッチを日課に
🔸 首・肩の痛み(授乳首)
原因:授乳時の前かがみ姿勢、赤ちゃんを見下ろす姿勢
対策:
- 授乳中も背筋を意識
- 肩回しを1日数回
- 温かいタオルで温める
🔸 骨盤まわりの痛み
原因:出産による骨盤の開き、靭帯のゆるみ
対策:
- 骨盤ベルトの活用
- 座る時は骨盤を立てる
- 片足に体重をかけない
痛み対策編 〜簡単ストレッチ〜
毎日できる!かんたんストレッチ
腰痛対策ストレッチ
①ネコのポーズ
四つん這いで背中を丸めたり反らしたり(5〜10回)
②膝抱えストレッチ
仰向けで両膝を胸に引き寄せる(30秒キープ)
首・肩こり対策ストレッチ
①首の横ストレッチ
頭を横に倒し、反対の肩を下げる(各20秒)
②肩甲骨ストレッチ
両手を後ろで組んで胸を開く(20秒キープ)
骨盤底筋エクササイズも大切!
産後の尿もれ予防にも効果的な「骨盤底筋エクササイズ」
- おしっこを我慢するようにキュッと締める
- 10秒キープ→10秒リラックス
- 1日3セット(朝・昼・夜)から始めましょう
2週間以上痛みが続く、日常生活に支障がある場合は、専門家に相談しましょう。
痛み対策編 〜腹直筋離開のケア〜
腹直筋離開って?
妊娠中にお腹の真ん中の筋肉が左右に開いてしまうこと。
産後女性の32〜60%が経験します。
セルフチェック方法
- 仰向けに寝て、膝を立てる
- 頭を少し持ち上げる(肩甲骨が浮く程度)
- おへその上下を指で触る
- 指が2本以上入る隙間があれば要注意
✅ OKな運動
- 深呼吸エクササイズ
- 骨盤底筋運動
- 横向きプランク(膝つき)
- 壁を使った腕立て伏せ
- ブリッジ運動
❌ NGな運動
- 従来の腹筋運動(クランチ)
- V字腹筋
- プランク(初期は避ける)
- ツイスト運動
- お腹が膨らむ運動
腹直筋離開があっても運動はできます!正しい方法で少しずつ改善していきましょう。
痛み対策編 〜日常生活での姿勢改善〜
毎日の動作を見直そう
🍼 授乳姿勢のポイント
良い姿勢:
- 背もたれに寄りかかる
- 授乳クッションで高さ調整
- 足台を使って膝を高く
- 肩の力を抜く
避けたい姿勢:
- 前かがみになる
- 片側だけで授乳を続ける
- 首を大きく曲げる
- 背中を丸める
👶 抱っこ・おむつ替えの工夫
- 抱っこ紐は正しい位置で装着(赤ちゃんの頭にキスできる高さ)
- 長時間の抱っこは左右交互に
- おむつ替えは腰の高さの台で(膝を曲げて腰を守る)
- 床からの抱き上げはスクワットの要領で
家事での工夫
- 掃除機は背筋を伸ばして(柄の長さを調整)
- 洗濯物は小分けにして運ぶ
- キッチンでは片足を台に乗せて交互に体重分散
- 重いものは体に近づけて持つ
痛み対策編 〜セルフマッサージ&ケア〜
自分でできる痛みケア
🌿 腰痛セルフケア
テニスボールマッサージ:
- 壁と腰の間にボールを挟む
- ゆっくり上下左右に動く
- 痛気持ちいい程度で30秒
温冷交代浴:
- 温かいシャワー3分
- ぬるめのシャワー1分
- 3セット繰り返す
💆♀️ 首肩セルフケア
ホットタオル:
- 濡らしたタオルをレンジで1分
- 首の後ろに当てて10分
- 1日2-3回
肩甲骨はがし:
- 両肘を曲げて肩の高さに
- 肘を後ろに引く(5秒)
- 10回繰り返す
🦴 骨盤ケア
骨盤底筋リリース:
- 仰向けで膝を立てる
- お尻の下にクッション
- 深呼吸しながら5分キープ
骨盤ゆらし:
- 四つん這いになる
- お尻を左右にゆっくり揺らす
- 各方向20回
運動編 〜いつから、どんな運動を?〜
産後の運動、時期別ガイド
時期 | できる運動 | 避けるべき運動 |
---|---|---|
0〜6週間 |
• 深呼吸エクササイズ • 骨盤底筋運動 • ゆっくり散歩 |
• ジャンプ、ランニング • 腹筋運動 • 重いものを持つ |
6〜12週間 |
• ウォーキング(距離を延ばす) • 軽いヨガ • 水中ウォーキング |
• 激しい有酸素運動 • 腹筋に負担のかかる運動 |
3〜6ヶ月 |
• 軽いジョギング • ピラティス • 軽い筋トレ |
• 高強度の運動 • 長時間の運動 |
6ヶ月以降 |
• 本格的な運動再開OK • ただし段階的に! |
• 体調に合わない運動 |
帝王切開のママは特に注意!
帝王切開は大きな手術です。通常の経膣分娩より回復に時間がかかります。
- 最初の2週間は歩行のみ
- 6〜8週間は医師の許可を待つ
- お腹の傷の痛みがある間は無理しない
運動編 〜安全に運動するために〜
運動強度の目安
運動中も「会話ができる程度」の強度を保ちましょう。
息が上がって話せないような運動は、まだ早いサインです。
毎日のセルフチェック
運動前に、以下をチェックしてみましょう:
- 昨夜の睡眠時間は?(4時間以下なら軽めに)
- 体の痛みや違和感は?
- 授乳のタイミングは?(直後は避ける)
- 気分やストレスレベルは?
こんな時は運動を中止!
- 運動中に尿もれがある
- お腹に圧迫感や痛みを感じる
- めまいや吐き気がする
- 運動後に出血が増える
- 異常な疲労感が続く
これらの症状があれば、医師に相談しましょう。
焦らず、自分のペースで。
「昨日より少し」の積み重ねが大切です💪
運動編 〜骨盤底筋トレーニング完全ガイド〜
骨盤底筋トレーニングを段階的に
STEP1:基本の呼吸と意識(産後1週目〜)
- 仰向けで膝を立てて寝る
- 息を吐きながら、おしっこを我慢するように締める
- 息を吸いながらゆるめる
- 1日10回×3セット
ポイント:お尻や太ももに力を入れない
STEP2:ホールド練習(産後2-4週目〜)
- 基本の締め方ができたら、10秒キープに挑戦
- 締める→10秒キープ→10秒休む
- 慣れたら座った姿勢でも練習
- 1日15回×3セット
ポイント:呼吸を止めない
STEP3:日常動作との統合(産後1ヶ月〜)
- 立ち上がる時に締める
- 咳やくしゃみの前に締める
- 赤ちゃんを抱き上げる前に締める
- スクワットしながら締める練習
ポイント:「締める」が習慣になるまで続ける
続けるコツ
- 授乳のたびに5回
- 赤信号で止まったら5回
- 歯磨き中に10回
- スマホのアラームでリマインド
運動編 〜産後の筋力トレーニングプログラム〜
週3回の筋トレメニュー(産後2ヶ月〜)
💪 上半身の日
①壁プッシュアップ
- 壁から腕の長さ分離れて立つ
- 10回×2セット
②アームサークル
- 両腕を横に伸ばして小さく回す
- 前後各20回
③軽いダンベル運動
- 500mlペットボトルから始める
- 各種目10回×2セット
🦵 下半身の日
①椅子スクワット
- 椅子に座る→立つの繰り返し
- 10回×2セット
②ヒップリフト
- 仰向けでお尻を上げる
- 15回×2セット
③カーフレイズ
- つま先立ちの繰り返し
- 20回×2セット
🧘♀️ コアの日
①デッドバグ
- 仰向けで膝90度
- 片手片足をゆっくり伸ばす
- 左右各10回
②サイドプランク(膝つき)
- 横向きで肘と膝で支える
- 各30秒キープ
- 痛みがあれば即中止
- 呼吸を止めない(息を吐きながら力を入れる)
- 週2回から始めてもOK
- 授乳直後は避ける
運動編 〜有酸素運動の始め方〜
段階的な有酸素運動プログラム
🚶♀️ Phase 1:ウォーキング(産後6週〜)
週 | 時間 | 頻度 | 強度 |
---|---|---|---|
1-2週目 | 10-15分 | 週3回 | ゆっくり |
3-4週目 | 20-25分 | 週4回 | 普通のペース |
5-6週目 | 30分 | 週5回 | 少し早歩き |
🏃♀️ Phase 2:ジョギングへの移行(産後3-6ヶ月)
ランニング開始のチェックリスト:
- ✓ 骨盤底筋の機能が回復している
- ✓ 30分の早歩きが楽にできる
- ✓ 片足立ちが10秒以上できる
- ✓ ジャンプしても尿もれがない
- ✓ 腹直筋離開が2cm以下
ウォーク&ジョグプログラム:
- 1分走って2分歩く×5セット
- 慣れたら2分走って1分歩く
- 最終的に20分連続ジョギングを目標に
おすすめの低負荷有酸素運動
- 水中ウォーキング(関節に優しい)
- エアロバイク(座って運動できる)
- ヨガ(リラックス効果も)
- 産後ピラティス(コア強化)
運動編 〜授乳中の運動Q&A〜
よくある質問にお答えします
Q. 運動すると母乳が出なくなる?
A. 適度な運動なら問題ありません!
むしろ血行が良くなって母乳の出が良くなることも。ただし、激しい運動後は母乳に乳酸が混じることがあるので、授乳は運動の1時間後がおすすめです。
Q. 運動中のスポーツブラは?
A. 授乳用とは別に運動用を準備しましょう
しっかりサポートしてくれるものを選び、運動後はすぐに授乳用ブラに着替えて。濡れたままにしておくと乳腺炎の原因に。
Q. 水分補給はどれくらい?
A. 普段より多めに!
授乳中は通常より1L多く水分が必要。運動する日はさらに500ml〜1L追加で。運動前・中・後にこまめに飲みましょう。
運動前の準備
- 授乳を済ませる
- 水分補給
- 軽食(バナナなど)
- 体調チェック
運動後のケア
- クールダウン(5-10分)
- 水分補給
- 着替え(汗対策)
- 1時間後に授乳OK